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コーヒ豆の産地(1) 米大陸編

2025年3月14日

1.コーヒーベルト

コーヒーの産地は赤道を挟んで南北25度の緯度の範囲に集中しています。この地域は、気候や土壌がコーヒの栽培に適しており、この産地帯を『コーヒーベルト』あるいは『コーヒーゾーン』と呼びます。
コーヒーの主要な生産国として有名なブラジル エチオピア インドネシアなど、すべてほぼ全国土がこのコーヒーベルトの中にすっぽりと納まっています。

2.各大陸ごとの主な産出国

(1)米大陸

ブラジル

いわずと知れた南米のコーヒー大国です。世界一の生産量340.5万トン(2023年)を誇り、そのうち約60%強がアラビカ種、約40%弱がカネフォラ種となっております。
アラビカ種の中のブルボン、イエローブルボン(アマレロ)、カトゥーラ、カトゥアイ、ムンドノーボなどの品種が栽培されます。生産処理精製方法は、主にナチュラル パルプドナチュラルで行われています。ブラジルのナチュラルはきれいにパーチメントが剥がされており、発酵臭もありません。1990年代までは「サントスNo.2 SC18」などで知られる等級やスクリーンサイズでの選別とブレンドがなされてきましたが、その後地域や品種などを限定したプレミアムコーヒーが増え、最近は農園指定や品種指定のスペシャルティーコーヒーも増えています。

コロンビア 

ブラジルと並ぶ南米のコーヒー大国で、生産量は68.1万トン(2023年)と世界第4位米大陸第2位です。もともとの栽培品種はティピカでしたが、カトゥーラ カスティージョ バリエダコロンビアの生産が主力となってきています。また、近年、希少品種であるゲイシャ種やシドラ種の栽培にも積極的に取り組んでいます。生産処理精製方法は、主にウォッシュドで行われていますが、ダイナミックファーメンテーションやインフィーズドへの取り組みなど新しい精製処理への取り組みが積極的に行われています。

ホンジュラス 

ホンジュラスは、中米に位置するコーヒー生産量38.4万トン(2023年)と世界6位米大陸3位となっております。栽培品種はブルボン カトゥーラ ティピカ パカスなどです。生産処理精製方法は主にウォッシュドですが、ナチュラルや中米に多いハニー製法も行われています。ホンジュラス産のコーヒーは、これまであまりなじみがないかもしれません。しかし、日本への輸入量は年々増加しており、現在第8位ですが1.1万トンとキリマンジャロで有名な第7位のタンザニアに肉薄するまでになっています。トレーサビリティへの取り組みも行われ、スペシャルティコーヒーの育成に力を入れています。

ペルー 

ペルーは、南米太平洋に面した南北に長い国で、コーヒーの年間生産量は36.9万トン余り(2023年)と世界第8位米大陸4位の生産を誇っています。栽培品種はティピカが70%カトゥーラ20%とされますが、最近ではゲイシャ種も積極的に栽培されており、COE(カップオブエクセレンス)入賞の大半を占めています。生産処理精製方法は主にナチュラルまたはウォッシュドとなっていますが、変わった方法として「カフェ・ウチュニャリ」があります。ウチュニャリとはハナグマのことでハナグマが食べたコーヒー豆を洗浄乾燥させて作るもので、インドネシアの「コピ・ルアク」と似ています。栽培地の標高は900m~2050mと高い地域が多く、高品質なコーヒーが栽培されていますが、日本への輸入は輸入国中10位と必ずしも多くはありません。

グアテマラ 

グアテマラは、中米メキシコの南に位置するコーヒー生産量22.5万トン(2023年)で世界第11位米大陸5位の生産量となっています。日本での知名度は高く、輸入量では4位から6位までの間を行き来しておりエチオピアやインドネシアと並ぶ4位グループを構成しています。栽培品種はブルボン、カトゥーラ、カトゥアイ、パチェ、パカマラなどで、生産処理精製方法は主にウォッシュドですが、COE(カップオブエクセレンス)向けにはナチュラルやアナエロビックなどの方式も用いられてます。中米の中でも特に良質なスペシャルティコーヒーの生産国として知られます。なかでも、アンティグア地区は古くから世界有数の良質なコーヒー産地として日本国内で知られており、ブルーマウンテンやキリマンジャロ、マンデリンなどとと並び特定銘柄に指定されています。

メキシコ 

メキシコは、北米最南端に位置し太平洋とメキシコ湾に挟まれています。コーヒーの生産量は19.4万トン(2023年)で世界第13位米大陸では6位となっています。日本での輸入国の順位としては17位でパプアニューギニア並みであまり多いとはいえません。栽培品種はティピカ、ブルボン、ムンドノーボ、カトゥーラ、マラゴジッペなど多岐にわたっています。生産処理精製方法はウォッシュドが主で、中小農園が多くフェアトレード認証やオーガニック認証を積極的に取得しています。また、トレーサビリティにも優れています。

ニカラグア 

ニカラグアは、北はホンジュラス南はコスタリカに国境を接する中米の国で、コーヒー生産量14.3万トン(2023年)と世界15位米大陸7位です。日本への輸入の順位は12位で、コスタリカやエルサルバドルなどの他の中米諸国と同様トレーサビリティが非常に高くスペシャルティコーヒーの産地として知られています。栽培品種はカトゥーラ、ブルボンが主力でマラゴジッペ、マラカトゥーラなども作られています。生産処理精製方法はウォッシュドが多く一部でナチュラルも用いられています。

コスタリカ 

コスタリカのコーヒー生産開始は比較的早く1820年代には開始されたが、長らくチリ経由運び出され「チリ バルパライソ産」として英国に輸出されていました。1846年からは自国産として1890年まで唯一の輸出品として外貨獲得に貢献しました。現在のコーヒー生産量は7.8万トン余りと世界18位米大陸8位です。栽培品種はカトゥーラ、カトゥアイに加えコスタリカ原産のビジャサルチとなっています。生産処理精製方法はもともとウォッシュドが多かったのですが、ハニープロセス(ホワイト―ハニーからブラックハニー迄4種)というコスタリカ独特の方法が主力となっています。ミューシレージを残したまま乾燥させる製法で、節水の点でブラジルのパルプドナチュラルと同じとされますが、私見では未熟豆の除去目的のパルプドナチュラルに対しハニープロセスは風味づけ目的となっており発酵させる点で異なります。

ベネズエラ 

ベネズエラは南米コロンビアの東、ブラジルの北に位置し、コーヒー生産高は5.6万トン(2023年)と世界第21位米大陸9位です。古くからコーヒー生産が行われており、1793年には大規模なコーヒー農園があった証拠が残っています。栽培品種はティピカ、ブルボン、ムンドノーボ、カトゥーラなどです。日本への輸入は少なく2020年度以降24位までに入ったことはありません。

エルサルバドル 

エルサルバドルは、グアテマラの南東ホンジュラスの南西に位置する中米の国です。コーヒー生産高は世界25位米大陸10位とそれほど順位は高くありませんが、日本への輸入は多く日本の輸入順位は14位となっており、スペシャルティコーヒーの主要な供給国の一つです。栽培品種はブルボン、パーカスに加え1958年に国立コーヒー研究所で開発された”パカマラ”が1980年代以降広く栽培されるようになっており、近年のCOE(カップオブエクセレンス)でも入賞の過半を占めています。

パナマ 

中米パナマは、コーヒーの生産量は1.2万トン余り(2023年)世界第35位と決して上位の生産国とはいえません。しかし、今やスペシャルティコーヒーの世界においては「パナマゲイシャ」が最高峰とされるなど、非常に重要な地位を築いています。

ジャマイカ

カリブ海の島国ジャマイカは、かつてのコーヒー界憧れの的ブルーマウンテンの産地として知られています。コーヒーの生産量は0.8万トン(2023年)と世界41位ですが、ブルーマウンテンは世界三大コーヒー(※)の一つとしてハワイコナと並び最高級のプレミアムコーヒーとして、また農園指定のスペシャルティーコーヒーとしてゆるぎない地位にあります。

キューバ

カリブのキューバは、コーヒーの生産量0.6万トン(2023年)世界42位です。日本では特定銘柄クリスタルマウンテンの生産国として知られています。

アメリカ合衆国(ハワイ) 

アメリカ合衆国では、ハワイ島コナ地区でハワイコナが生産されています。生産量は0.3万トン(2023年)世界50位です。ハワイコナは世界三大コーヒーの一つに数えられ、ジャマイカのブルーマウンテンと並ぶ超高級コーヒーとして愛飲されています。

その他の国々

中南米カリブでは他にボリビア、ドミニカ、エクアドル、ハイチ、プエルトルコなどでコーヒーが生産されており、一部の国ではスペシャルティーコーヒーとして輸出されています。

※参考文献 ジェームス・ホフマン著 丸山健太郎監修『スペシャルティコーヒー大事典 2nd Edition 普及版』(日経ナショナル ジオグラフィック)、堀口俊英著『スペシャルティコーヒーのテイスティング』(旭屋出版)、全日本コーヒー協会『調査資料』(調査データ | 全日本コーヒー協会)、GLOBAL NOTE®『世界のコーヒー豆 生産量 国別ランキング・推移』(世界のコーヒー豆 生産量 国別ランキング・推移 - GLOBAL NOTE)

※世界三大コーヒー ジャマイカ ブルーマウンテン、ハワイアン コナ、タンザニア キリマンジャロ

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